中国は中長期国債を買い増し
中国は、上記の水準よりも大量に、日本の中長期国債を買い越し、短期国債を売り越している可能性がある。そのことは、中国による米国債の保有状況から推察される米財務省は外国による米国債の保有状況を推計し発表している。
毎年六月分に調査方法を改訂して精密調査し、七月分以降は六月分を毎月更新していく。そのため、時間が経過すると実態からの乖離が拡大し五月に最大となる。改定の際に中国による米国債保有額が大きく上方修正されるのに対して、英国、カリブ海域、香港、ルクセンブルクの四大オフショア合計の保有額は大きく下方修正される。
このことは、中国が、金査能力が米国財務省を上回ると仮定しない限り、中国による日本国債の売買の実態は、統計が示すよりも大きいと考えるべきである。中国は円建ての日本国債だけでなくユーロ建ての欧州諸国の国債も買い進んでいる。外貨準備の運用を米ドル建て集中から分散するためであるとしているが、ギリシャやポルトガルそしてハンガリーなどの債務危機に直面している欧州諸国の国債も買い進んでおり、資産運用のための純投資よりも外交的な戦略の上に立った投資であると考えるべきである。
欧米系だけでなく日本の大手金融機関までが、日本国債の保有を長期から短期に移し替えている時に、その逆向きの売買を大規模に行う中国から、日本の財政当局は眼を離すことができないだろう。3・11の以前から日本国債は「死に至る呪衝」に陥っていた。3・11後を展望するために重要なので、識者の意見を紹介しよう。